2026年9月15日
歩留まり・不良率・良品率・直行率の違いと計算方法
どれも「どれだけ良品が取れたか」を表す言葉ですが、数え方が違います。 会議で数字が食い違う原因は、たいていどの定義で計算したかが揃っていないことです。 ここでは同じデータで4つを計算して、違いをはっきりさせます。
まず4つの言葉を1行ずつ
| 言葉 | 何を見ているか | 計算式 |
|---|---|---|
| 歩留まり | 投入した材料のうち、良品になった割合 | 良品 ÷ 投入 |
| 良品率 | 作ったもののうち、検査に合格した割合 | 良品 ÷ 生産数 |
| 不良率 | 作ったもののうち、不良になった割合 | 不良 ÷ 生産数 |
| 直行率 | 手直しなしで一発合格した割合 | 一発合格 ÷ 生産数 |
歩留まりと良品率はほぼ同じ意味で使われることが多いですが、厳密には分母が違います。 歩留まりは「投入した材料」、良品率は「作った個数」が分母です。 材料の端材や仕掛品のロスまで含めて見るのが歩留まり、完成品の数だけで見るのが良品率、という違いです。
同じデータで4つを計算してみる
次の1日の生産を例にします。
材料を 1,000個分 投入した。
完成したのは 980個(20個分は端材・段取りロスで製品にならなかった)。
検査したら 930個 が一発で合格、30個 は手直しして合格、20個 は不良で廃棄。
整理するとこうです。
- 投入:1,000
- 生産数(完成した数):980
- 良品(手直し含む):930 + 30 = 960
- 一発合格:930
- 不良:20
これを4つの式に入れます。
| 言葉 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 歩留まり | 960 ÷ 1,000 | 96.0% |
| 良品率 | 960 ÷ 980 | 98.0% |
| 不良率 | 20 ÷ 980 | 2.0% |
| 直行率 | 930 ÷ 980 | 94.9% |
同じ1日なのに、96.0%・98.0%・94.9% と3つの数字が出ます。 「うちの歩留まりは98%」と言う人と「96%」と言う人がいたら、どちらも嘘ではなく、定義が違うだけです。
どれを使うべきか
目的で決まります。
| 知りたいこと | 使う指標 | 理由 |
|---|---|---|
| 材料費がどれだけ無駄になっているか | 歩留まり | 端材や段取りロスも含めて、買った材料がどれだけ製品になったかを見られる |
| 品質がどれくらい安定しているか | 良品率/不良率 | 作ったものが合格するかどうかだけを見る。材料のロスとは切り離せる |
| 工程が一発で決まっているか | 直行率 | 手直しは「合格」に入るが、手間と時間がかかっている。それを可視化できる |
| 必要な材料を発注したい | 歩留まり | 「1,000個ほしいなら何個分の材料が要るか」は歩留まりで逆算する |
直行率が見落とされやすい
良品率が98%でも、直行率が90%なら、10個に1個は手直しをしていることになります。 手直しは合格に含まれるので良品率には出てきませんが、 その分の時間と人手は確実に消えています。
「良品率は高いのに、なぜか工程が遅い」というときは、直行率を見てください。 原因がそこにあることがよくあります。
複数工程の歩留まりは掛け算
ここが一番間違えやすいところです。
成形95%・加工98%・検査99% の3工程があるとき、全体の歩留まり(通し歩留まり)は 平均でも合計でもなく、掛け算です。
ひとつひとつは高く見えても、掛け合わせると落ちます。工程が増えるほど、この落ち込みは大きくなります。
そして改善するなら一番低い工程からです。 99%の検査工程を99.5%にしても全体は0.5%しか上がりませんが、 95%の成形を97%にすれば全体が約2%上がります。掛け算なので、低いところを上げるのが最も効きます。
必要な投入量を逆算する
「1,000個の注文が来た。歩留まりは95%。何個分の材料を用意するか」—— 現場で一番よく出てくる計算です。
ここで 1,000 × 1.05 = 1,050 と計算すると足りません。 正しくは割り算です。
差は3個ですが、歩留まりが低いほど差は広がります。 歩留まり80%なら、掛け算だと1,200、割り算だと1,250。50個の差になります。 材料の欠品はここから起きます。
よくある計算間違い
分母を途中で変えている
今月は投入量、先月は生産数で計算していると、比較になりません。 社内でどの定義を使うかを決めて、月ごとに変えないことが一番大事です。 定義が揺れると、改善したのか悪化したのか判断できなくなります。
手直し品を数え忘れる
手直しして合格したものを「不良」に入れている現場と「良品」に入れている現場があります。 どちらが正しいということはありませんが、決めておかないと数字が合いません。 迷ったら、歩留まり・良品率には手直し品を含め、直行率で別途見るのが一般的です。
100%を超えている
良品が投入を上回ることは通常ありません。 数えていない材料が混ざっているか、単位の取り違え(kgと個など)が起きています。
まとめ
- 歩留まり=材料がどれだけ製品になったか(分母は投入量)
- 良品率/不良率=作ったものが合格したか(分母は生産数)
- 直行率=手直しなしで一発合格したか
- 複数工程は掛け算。一番低い工程から改善する
- 必要投入量は割り算で逆算する
- 定義を決めたら月ごとに変えない
計算そのものは下のツールでできます。歩留まり率・不良率・原単位の計算、 必要投入量の逆算、複数工程の通し歩留まりまで、数字を入れるだけです。